適応障害
新しい環境や人間関係の変化、健康問題などのストレス因が生じた後に気分の落ち込みや不安、焦りがみられる疾患です。これらの症状により著しい苦痛をきたしたり、日常生活に支障をきたすことで不登校や欠勤の原因になることがあります。
適応障害の原因
1. 生活環境の変化が引き金になります
新しい土地・職場・学校への移動や、異動などが原因としてよく見られます。通常は、強いストレスがかかる出来事が生じてから3ヵ月以内に発症し、ストレス因が終結すると6か月以内に症状は治まります。
2. 「喜ばしい出来事」が原因になることも
パワハラやセクハラ、学校・家庭内のトラブルだけでなく、本人にとって嬉しいはずの会社の昇進や栄転、結婚や出産などの変化が原因になることも少なくありません。
一見ポジティブな変化であっても、「うまくやらなくてはいけない」という気持ちが強まり、無意識のうちに大きなプレッシャー(過剰な適応への努力)を感じて発症するケースがあります。
このような状態のときは、当院までご相談ください
- 憂うつな気分が続いている
- 仕事や家事に集中できない
- 些細なことでイライラしてしまう
- 怒りっぽくなったと言われる
- 仕事などで緊張することが多い
- よく眠れない
- 食欲不振が続いている
- 疲れやすくなった
- 頭痛や肩こりがひどい
- 遅刻や欠勤、早退が増えた
- 暴飲暴食してしまうことがある
など
治療について
当院では、患者様の状態に合わせて以下の3つのアプローチを組み合わせ、無理のないペースで治療を進めます。
1. 環境調整
まずは原因となっているストレスを軽くすることが先決です。患者様がつらいと感じている環境(仕事の量を減らす、配置転換を願い出る、休職するなど)を調整します。
2. 心理療法
環境をすぐに変えることが難しいケースでは、専門的なカウンセリングや心理療法が効果的です。ストレスの原因に対する「受け止め方のパターン」にアプローチし、より柔軟な考え方や対処法を身につけていきます。また、現在抱えている具体的な問題と症状に焦点を当て、現実的な解決策を一緒に見いだしていきます。
3. 薬物療法
つらい情緒面の症状や、からだの症状を和らげるために、お薬を補助的に使用することがあります。不安や不眠に対しては「抗不安薬」や「睡眠薬」、うつ状態が強い場合には「抗うつ薬」などを用い、日々の負担を軽減します。漢方での治療も可能です。
うつ病
うつ病は、気分が落ち込む、やる気が出ない、何をしても楽しくないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が長期間にわたり持続する病気です。現代社会においてうつ病は決して珍しい病気ではなく、日本人の約15人に1人(生涯有病率:約6〜7%)が一生の間に一度は経験すると言われています。また、女性の方が男性よりも約2倍発症しやすいというデータがあり、発症年齢のピークは20代から50代の幅広い働き盛りや子育て世代に見られます。
うつ病の原因
うつ病は、決して「本人の努力不足」や「性格の弱さ」といった精神論で片付けられるものではありません。医学的には、以下のような複数の要因が複雑に絡み合うことで発症すると考えられています。
脳内の神経伝達物質の機能低下:脳内で感情や意欲をコントロールしている「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの神経伝達物質の働きが低下し、脳の機能に不調が生じている状態です。
環境要因
大切な人との別れ、病気、経済的な問題といった喪失体験だけでなく、結婚、出産、昇進といった環境の大きな変化が引き金になることがあります。
身体的要因
慢性的な疲労、睡眠不足、ホルモンバランスの変化(産後や更年期など)も脳のエネルギーを低下させる要因となります。
このような状態のときは、当院までご相談ください
- 憂うつな気分が続いている
- 何をしても楽しくない
- 疲れやすい
- 些細なことでイライラしやすい
- 不安で落ち着かない
- 自分のことを無価値だと思う
- 思考や行動が遅くなった
- 記憶力が低下した
- よく眠れない
- 食欲不振が続いている
- 体重が減少している/増加している
- 死にたい気持ちがある
- 頭痛、動悸、眩暈などの身体症状がある
など
うつ病の治療について
うつ病の治療は、急性期・回復期・維持期という段階に合わせて、焦らず計画的に進めていくことが基本です。当院では、丁寧な問診を通じて病状のフェーズを正確に評価し、一人ひとりに最適な治療法を提案いたします。
1. 十分な休養と環境調整
治療の第一歩は、脳のエネルギーを回復させるために、心身を休ませることです。必要に応じて休職や休学のための診断書を発行し、社会的なプレッシャーから距離を置けるよう環境を整えます。
2. 薬物療法
主に抗うつ薬を用いて、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどのバランスを調整します。
効果の発現について: 抗うつ薬は服用を始めてから目立った効果が現れるまでに、通常2〜4週間ほどの時間を要します。効果を実感しにくい初期段階であっても、自己判断で服薬を中断したり量を減らしたりすると、症状の悪化や再発、離脱症状を招くリスクが高まります。
継続の重要性: 症状が改善した後も、脳の機能が完全に安定するまでは、再発を防ぐために一定期間(半年〜1年程度)はお薬の服用を継続することが医学的に推奨されています。もう大丈夫だと思っても自己判断で中断せずに医師にご相談いただけると幸いです。
3. 精神療法
症状が徐々に落ち着いてくる回復期以降、医師や心理士との対話を通じて、ストレスの原因に対する受け止め方のパターンを見つめ直します。物事の捉え方や行動パターンにアプローチする「認知行動療法」を取り入れることで、うつ病の再発率を有意に下げることが可能になります。
双極症(躁うつ病)
著しく気分が高揚する躁状態と、意欲が低下する抑うつ状態を周期的にくりかえす疾患です。
躁状態のときは、自己肯定感が極端に強まり、体じゅうがエネルギーに満ち溢れたように感じられるため、あまり眠らなくても平気になったり、上機嫌でおしゃべりになったりします。しかし、単に陽気でエネルギッシュな状態というわけではなく、自分中心の行動が目立つため、周囲の人とのトラブルが起こりやすくなります。
一方、うつ状態の時期は、気分がひどく落ち込み、憂うつ気分が続きます。
仕事や勉強などをやる気が起こらなくなったり、これまで好きだった趣味なども楽しくなくなったりするため、日常生活での喜びが失われます。
さらに病状が悪化すると、将来に絶望したり、自分を責めたり、自殺を考えたりすることもあります。
このような状態のときは、当院までご相談ください
- 躁の主な症状
-
- 気分が激しく高揚している
- 自分が偉くなったと思い込む
- 夜に眠らなくても平気でいられる
- 喋りはじめると止まらない
- 人の意見に耳を貸さない
- 自分中心の行動を続けている
- 借金をしてまで物を買いあさってしまう
- 性的に無分別な行動をしてしまう
など
- うつの主な症状
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- 気分が憂うつで何もする気が起こらない
- 今まで好きだった趣味などにも興味が持てなくなった
- 体重が減少してきた
- ベッドに横になっても、なかなか寝つけない
- 過去のちょっとした出来事にも悩んでしまう
- 自分を責めることばかり考えている
- 自殺を考えてしまう
など
主な治療法
躁うつ病の治療は、薬物療法が基本となります。
主に気分安定薬を使用し、抑うつ状態と躁状態の間を大きく振れ動く気分の状態をコントロールさせます。気分安定薬のなかには至適な血中濃度の範囲が狭く、継続的に血中濃度のモニタリングを行う必要があるものがあります。また、再発を防止するために寛解状態であっても服薬を継続する必要がある場合があります。