- 2026年8月10日
- 2026年8月31日
ニーバーの祈り

日々の中で、自分ではどうにもできない出来事や感情に振り回され、心が疲れてしまうことはありませんか?
精神科や心療内科の診療でも、患者様から「どうしても不安が消えない」「相手の気持ちを変えたいのにうまくいかない」といったご相談をよくいただきます。
そんなとき、心をすっと軽くするヒントを与えてくれる言葉があります。それが、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーが捧げた「ニーバーの祈り」です。
「ニーバーの祈り」の日本語訳をご紹介します。
神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる安らぎと、
変えることのできるものを変える勇気と、
変えられるものと変えられないものを見分ける知恵を与えたまえ。
この言葉は、宗教の枠を超えて世界中で親しまれており、アルコール依存症をはじめとする依存症からの回復プログラムなどでも大切にされています。
- 「変えられないもの」は、そのまま受け入れる(受容)
過去の出来事、他人の感情や行動、そして「今生じている不安や抑うつ感」そのものは、自分の意志だけで直接コントロールすることはできません。「なぜあの人は変わってくれないのか」「なぜこんなに不安なのか」と戦おうとすると、心はどんどん疲弊してしまいます。「今はそういう状況なんだな」「自分はこう感じているんだな」とそのまま受け入れることが、回復への第一歩になります。
- 「変えられるもの」に集中する(行動)
コントロールできるのは「これからの自分の行動」や「物事の捉え方(受け止め方)」です。状況そのものは変えられなくても、「今夜はどう過ごすか」「自分をどうケアするか」は自分で決めることができます。変えられる小さな一歩に集中する勇気が、状況を少しずつ良い方向へ動かします。
- 「見分ける知恵」を持つ(整理)
一番大切なのは、「何が変えられて、何が変えられないのか」を区別することです。悩みの渦中にいるときは、すべてが混同してしまいがちです。紙に書き出してみたり、専門家に話したりしながら整理していく作業がとても効果的です。
もし今、悩みや不安で頭がいっぱいになっているなら、少し立ち止まって次のことを自分に問いかけてみてください。
今悩んでいることは、「過去」や「他人のこと」ではありませんか?(=変えられないもの)
「今、この瞬間からできる自分の行動」はありますか?(=変えられるもの)
自分ひとりで整理するのが難しいときや、どうしても不安が頭から離れないときは、無理をせず当院にご相談ください。一緒に心が軽くなる方法を探していきましょう。